中国ワイン対欧州ワイン——ブラインドで証明された、実力の現在地

中国ワイン対欧州ワイン——ブラインドで証明された、実力の現在地

 

1976年、パリで世界を驚かせた出来事があった。
フランスの著名な評論家たちがブラインドテイスティングを行った結果、カリフォルニアのワインがボルドーとブルゴーニュの名だたる銘柄を上回ったのだ。
「パリの審判」と呼ばれるこの事件は、ワインの世界における常識を覆した。

半世紀後、同じことが中国ワインをめぐって起き始めている。


「香港の審判」——中国がボルドーに勝った日


2020年7月、香港で開催されたブラインドテイスティング「Judgement of Hong Kong」は、不動産会社のトップやアカデミー賞受賞映画監督を含む16名の審査員が参加する場で行われた。中国トップワイン6本対ボルドー名門ワイン6本(シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ピション・ロングヴィル・ラランドほか)が6ペアで対戦した結果は、中国ワインが4勝2引き分け。ボルドーは1勝もできなかった。

「中国がこれほど素晴らしいワインを造っているとは知らなかった」——審査員のひとりはこう語り、すべてのフライトで中国ワインを選んでいたと明かした。

さらに2025年9月、James Sucklingが香港の自身のレストランで開催した「China in Dialogue: A Global Wine Conversation」では、懐来産区のドメーヌ・フランコ・シノワ「Domaine Franco-Chinois Huailai Reserve 2019」が、97点の高評価を受けたシャトー・ランシュ・バージュ 2019と対戦。多くの審査員がどちらが中国ワインか判別できず、グループ投票では懐来のワインが大差でランシュ・バージュを上回った。


スコアで見る、中国対欧州

 

数字で比較すると、その差はすでに縮まっている。

James Sucklingの評価では、詩百篇・リザーブ・シラー 2019が95点を獲得し「Chinese Wine of the Year 2024」に選出された。同じ評価基準で、ボルドーの中堅シャトーは90〜93点台が多い。95点はグランクリュ・クラッセの中でも上位に相当するスコアである。

LVMHが手がける雲南省の「アオ・ユン 2020」はJames Sucklingのワールドトップ100に選出され、同2015年ヴィンテージは「香港の審判」で総合最高得点を獲得している。



中国ワインが欧州ワインに「勝てない」とされてきた理由

 

ここまでの結果を見れば、品質面での差はすでに縮小していると言えるだろう。
しかし中国ワインが欧州ワインと比べて不利とされてきた点も正直に整理しておく。

歴史とブランド力は依然として欧州が圧倒的に上だ。
シャトー・マルゴーやロマネ・コンティが持つ数百年の歴史と文化的蓄積は、数十年の歴史しか持たない中国のワイナリーが短期間で追いつけるものではない。

熟成ポテンシャルの実績という点でも欧州は優位に立つ。
ボルドーやブルゴーニュのワインは数十年にわたる熟成記録があるが、中国のファインワインはまだ歴史が浅く、長期熟成後の評価が蓄積されていない。

価格競争力については、中国ワインは人件費(特に埋土越冬などの労働集約的作業)が高く、欧州の中堅ワインと比べて割高に感じられる場合がある。


それでも、今が買い時である理由


逆説的だが、これらの「不利な点」こそが、今が中国高級ワインの買い時である理由でもある。

歴史とブランド力がまだ確立されていない分、品質に対して価格が抑えられている。
ボルドーの同スコア帯のワインと比較すれば、詩百篇は明らかに割安な水準にある。
熟成ポテンシャルが未知数であることは、リスクである同時に、先行者として価値の上昇を享受できる可能性でもある。

「パリの審判」の後、カリフォルニアワインの価格は急騰した。同じことが中国ワインに起きたとき、今この価格で手に入れる機会はなくなる。



おわりに


中国ワインは欧州ワインと「同じ土俵」に立てるかという問いは、すでにブラインドテイスティングが答えを出している。残っている差は品質ではなく、知名度と歴史である。
そしてその差は、時間が解決する。


参考:James Suckling「Judgement of Hong Kong」(2020年7月)、James Suckling「Chinese Wines Steal the Show」(2025年9月)、James Suckling「Top 100 Wines of China 2024」、NNAカンパサール「注目集める中国ワイン市場」(2025年3月)

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